小型センサを用いた自動車の運転者動作解析用 自立型動作解析装置の開発

小型センサを用いた自動車の運転者動作解析用 自立型動作解析装置の開発

大手自動車メーカー様と共同で、自動車の運転者の動作解析を可能にする「自立型動作解析装置」の開発をおこないました。 運転中の姿勢や操作動作を精密に計測することで、運転行動の特性把握、安全性向上、人間工学的評価などに役立てることを目的としております。

本開発では、自動車運転者の動作解析に適した「小型センサ」「二眼カメラ」を組み合わせた解析装置を実現いたしました。 運転席環境の遮蔽などの制約を克服し、信頼性の高いデータ取得を可能にいたしました。

1. 目的

本開発の主目的は、自動車の運転者の動作解析を可能にすることです。 運転中の姿勢や操作動作を精密に計測することで、運転行動の特性把握、安全性向上、人間工学的評価などに役立てることを目指し、大手自動車メーカー様と共同開発を行いました。

また、二眼カメラと小型センサを組み合わせることにより、計測範囲の拡大や遮蔽時の安定性向上など、従来の動作解析装置が抱えていた課題を解決することも目的としております。

2. 開発品の構成

本装置は、二眼カメラモジュールと9軸センサユニットを核とし、統合アルゴリズムとPC解析ソフトウェアでデータを処理する構成を採用しております。

  • 二眼カメラモジュール

    運転者の位置や動作を立体的に捉え、全体の基準座標系を提供いたします。

  • 9軸センサユニット

    加速度・角速度・磁気方位を計測し、運転中の細かな動作や姿勢変化を補足いたします。遮蔽があっても計測を継続することが可能です。

  • 統合アルゴリズム

    カルマンフィルタ等を用いて、カメラとセンサ情報を融合し、誤差を抑えて運転動作を滑らかに再現いたします。

  • PC解析ソフトウェア

    得られたデータを処理し、運転者の動作解析結果を可視化いたします。

3. 開発成果

  • 運転動作を対象とした高精度計測

    運転者の姿勢や動作を安定的に記録・解析できる環境を構築いたしました。

  • 計測範囲の拡大

    カメラの配置改善により、運転席空間全体を効率的にカバーできるようになりました。

  • センサ精度の向上

    フィルタ処理や補正技術により、長時間の運転動作解析でも安定した出力を維持できるようになりました。

  • 遮蔽(オクルージョン)への耐性

    ハンドル操作や体の動きによる視界遮りが生じても、センサ情報を補完することで計測の連続性を確保いたしました。

4. 今後の課題・展望

  • 運転者の動作解析に特化した座標軸校正の簡易化を進めてまいります。
  • センサ・LED間の位置ずれ補正の実装により、精度向上を図ってまいります。
  • 二眼カメラの光学補正によるさらなる改善を行ってまいります。

5. 結論

本開発では、自動車運転者の動作解析に適した小型センサ搭載型解析装置を実現いたしました。 二眼カメラとセンサの融合により、運転席環境での制約や遮蔽を克服し、信頼性の高いデータ取得を可能にいたしました。

この成果は、安全運転支援技術や人間工学的設計、さらには医療・スポーツなど他分野への展開にも大きな可能性を持っております。